絵手紙ラボ・年賀状〜暑中見舞いまで。色々な道具で手書きを楽しもう!

構図のポイント

ここでは構図のポイントを5つに分けてご説明します。(お急ぎの方は以下クリックでジャンプします。)

1.主役の条件

複数のモチーフをかく際、主役がある絵は分かりやすく、まとまりやすいです。
( →最初に目がいく所があり、受け手は落ち着く)
主役がない絵は散漫となり、画面がちぐはぐになりやすく、初心者には難しいです。
(→視線が限定されず、自由な印象になる)

 

絵手紙ではモチーフが一つのときは「はみ出るくらい大きくかく」が基本です。 では、複数の時に何が「主役」の決め手になっているのか?を考えてみたいと思います。これを意識すると、その要素はグッと主役に近づきます。

 

◆主役になるための主な条件◆   (…主役は他の要素と差別化されている!)

  • 【1】他と比べて‥大きい(または極端に小さい)
  • 【2】他と比べて‥かき込みが細かい(または極端に少ない)
  • 【3】他と比べて‥手前にある(または極端に奥にある)
  • 【4】主役の周囲に間がある(または脇役を連れている)
  • 【5】画面からはみ出すことなく、全てが収まっている

【1】大きい

【2】かき込みが細かい

【3】手前にある

【4】周囲に間がある

【5】全てが収まっている

この「主役」についての理解は構図を考える上での基本となります。
(主役の有無も含めて)

また、モノには正面や方向があります。これを意識すると、感情を伝えやすくなります。

矢印は視線の方向、流れです。これが内に向かうと内向的、閉鎖的な印象へ、外へ向かうと外向的、広がりを感じます。また、モチーフ同士の視線の関係で物語性も生まれます。

2.シンメトリーとアシンメトリー

絵は、たいていの場合、シンメトリーか、アシンメトリーかのどちらかに大別されます。

 

シンメトリー(対称)

構図が持つイメージ:安定、威厳、伝統、人工的

アシンメトリー(非対称)

構図が持つイメージ:自由、オシャレ、革新、自然

◆シンメトリー(対称)

お互いに対応しながら釣り合いがとれていること。主に左右対称。
ex) イコン(聖画像)、「X」「O」「H」など。

しかし、シンメトリーは堅苦しく面白みに欠けるので、多少崩したシンメトリーがよく見られます。

上下、左右、バランスよく要素が配置されている

◆アシンメトリー(非対称)

左右対称以外。視線の流れ、余白や主役の使い方、アクセントなどで均衡をとる。
ex) 大抵の絵画。「S」「L」「C」

要素がアンバランス

実際の絵では、様々な要素が絡み合って受け手に届くので、厳密に当てはめることは難しいです。

♦︎崩したシンメトリー

例えば、配置はシンメトリーでも、要素の ボリュームによって、簡単に壊れたりします。

要素の一つが「主役」だと、構図がシンメトリーでも
バランスが崩れてアシンメトリーになる

♦︎アクセント

既にある要素の反対の要素を少量足すことで、変化をつけることが「アクセント」です。 一番簡単なのは、緑⇔赤、黄⇔紫、橙⇔青、の色彩で補色を入れる方法です。

アクセントの持つイメージ:都会的、オシャレ

 

構図の与える印象を考慮して、目指すイメージに最適な構図を選んでいきましょう。

3.直線ベースの構図

「構図」は、モチーフをどのように自分が感じ、表現したいか、を伝える 重要な要素の一つです。

 

◆水平線を意識した構図

構図が持つイメージ:安定した、落ち着いた、フォーマルな‥etc

 

 

ヨコ・構図例(中川一政の印模写)

◆垂直線を意識した構図

構水平線と同様に、安定した、落ち着いた、フォーマルな印象になります。

タテ・構図例

 

 

 

◆斜めの構図

リズムがあり、楽しく元気な印象になります。

斜め・構図例

 

 

4.流線ベースの構図

「私たち人間がモノを見るとき、心地よいと感じる視線の順番があります。 代表的なものとしては水の流れがあり、それが流線形です。
現在では文章を読む時、横書きと縦書きの進み方は大抵が下図のようになっており、それ以外の時は、少し不自然に感じます。従って、意表を突いた、注意を引く画面にしたいときはこの法則を破ると効果的です。

横書き

たて書き

これは図を見る時も作用し、この流れで要素を配置すると、自然で穏やかな印象になります。

横書き

たて書き

♦︎構図例

 

 

 

この構図は取り入れやすく、要素の向き・方向によってさらに変化がつけられます。

①例えばこの場合で見ていきましょう。

②要素の配置は垂直の構図ですが、

③要素の向きがこういう方向なので、

④全体では流線型の構図も当てはまってきます。

構図は様々な要素に複雑に左右されます。少し離して見たりして、画面から受ける印象も意識していきましょう。

5.重力の法則

私たちは日々「重力」と共に暮らしています。そこで、見るものに対してもこの重力の法則を当てはめようとする癖があります。つまり重いものは下へ、軽いものは上へという法則です。私たちはこの法則に当てはまらないものを見た時、「おや?」とか「ドキッ」とします。

 

【正】重力の法則
→安心、安定、普遍性etc‥

【反】重力の法則
→革新的、ユニーク、アクティブetc‥

◆構図の場合

重心が下にくると落ち着く。

上にくると動きが出る。

◆色彩の場合

明色・淡色が上、暗色・濃色が下にくると落ち着く。

反対だと落ち着かない。

同系色の場合は、暗色(濃色)→明色(淡色)へと視線が動きます。

意表を突いたり、動きを表現したい際は「重力の法則」を破るという手もありますね。