絵手紙に使用する道具について
絵手紙を始めるにあたり、まずは必要な道具を見ていきましょう。写真は日本絵手紙協会で販売しているものですが、絵手紙専用の筆や墨が無くても大丈夫です。何年も前に書道で使用した筆・墨や、無いものは100円ショップで揃えましょう。
①梅皿(うめざら)
絵の具を混ぜるパレット。(100円ショップのプラスチックパレットでも代用可)
②顔彩(がんさい)
日本画用の絵の具。透明感があり、水加減で濃淡ができます。絵の具の名前は「燕脂」「緑青」など日本の伝統色にちなんだ名前。20色位のを買い、使う色、欲しい色をバラで買い足していくのがいいです。(一つ200円しないくらい。写真:吉祥絵手紙顔彩・日本絵手紙協会・20色・2,310円)
③スポイト
硯に墨を入れるのに使用。(100円ショップで売ってます)
④筆洗(ひっせん)
筆が洗えればなんでも可。墨筆用、顔彩筆洗い用、顔彩薄め用と3種類あるとよい。
⑤筆
輪郭線・文字用は穂先が長い筆が気持ちが入ります。穂先が短いのが彩色用。小さい頃に使っていた習字セットの小筆でも可。モチーフ、紙の大きさに合わせて色々使ってみましょう。(写真:柳美・中・日本絵手紙協会・2,420円、彩色筆もみじ・大・日本絵手紙協会・715円)
⑥硯と墨
硯は普通のものでOK。墨は書道で使う油煙墨(ゆえんぼく→ 黒々、ツヤツヤ)ではなく、濃淡がつく松煙墨(しょうえんぼく→ 別名・青墨。顔彩とよく合う)がおすすめ。磨る時間がない人のために松煙墨の墨液もありますが、自分で磨ったほうがにじみがきれいです。(写真:絵手紙青墨・2,310円)
⑦ ティッシュペーパー
筆に含みすぎた水分を調整します。
⑧はがき
和紙がはってある画仙紙はがきがおすすめ。水分を吸収してきれいににじみます。官製はがきは墨を染み込まず、乾燥も遅いです。(写真:本画仙紙はがきの太郎・日本絵手紙協会・10枚入りで275円)
⑨印泥(いんでい)・消しゴムはんこ
印泥は印を押すときの朱肉。文具店で売っている朱肉より色が深く立体的です。もちろん文具用の朱肉でも可。(写真:印泥(美麗・半両装)・1,650円)消しゴムはんこは5分くらいで簡単につくれます。自分の一字を消しゴムにようじで彫り込むだけ。印があると画面が引き締まります。
⑩下敷き・モチーフ(写真はありません)
はがきからはみだしてかくので下敷きを敷きましょう。(新聞紙・フェルト生地で代用可)絵手紙はよく視ることが大切なので、モチーフがないとかけません。
(2019年11月時点です。金額は異なる場合がございます。詳しくは絵手紙(株)の通信販売サイトへ≫ )
筆と墨でじゃがいもを書こう
絵手紙道具が揃ったら、さっそく書いていきましょう。
初めのモチーフはピーマンやりんごなど簡単な果物や野菜がおすすめです。今回はじゃがいもをかいていきます。
1.よーーーく視る
まずは実物をよーく視ます。
見慣れているから、どうせ丸型だろ、となんとなく輪郭をかきがちですが一つひとつ違います。
その違いをしっかり視て、どの角度がいいか、どこを一番かきたいのかを決めます。
*ポイント*
「こんな形だろう」という想像でかくのはダメ!
絵に力がなく、薄っぺらい感じになってしまいます。
2.はみ出すくらい大きくかく
とにかく大きく、大きく、と心がけます。 意識しないと自分が思っていたよりずっと小さくってしまいます。 意識しても最初はなかなか大きくかけず、小さくなってしまいます。(いくら「はみ出そう」と思っていても、「はがき」という制限が あると不思議と収めてしまう、人間の習性とはすごいものです。) それを打ち破ることから始めます。 さらに、大きくかくと、色を塗る面積も大きくなるので彩色しやすくなります。
*ポイント*
・大きくかくとはがきに占める色面の割合が多くなるので
インパクトのある絵手紙になります。
・そもそも3次元のものを2次元の「紙」にかく、という
高度なことをしているので、初心者が全体像をかくと見え方の
矛盾や違和感が目立ちます。設置面や影などの難しいところははがきの外にもっていって、脳の力で補完してもらいましょう。
3. 言葉をかく
言葉をかき入れます。 大抵場合、その時にパッと思いついた言葉の方が後から熟考して かき入れた言葉よりよかったなぁ、と思う確率が高いです。 文字は変に崩さず 、「読みやすさ」を重視します。
*ポイント*
・言葉は、最初の「よーく視る」の時に思い浮かぶ事が多いです。(言葉が出にくい人は、出てくるまでよく視る。)
・難しい言葉を使わず、普段使っていることば。
・短い言葉で伝わるように、訓練あるのみ!
*ことばのヒント*
・擬音語、擬態語などの感覚印象から考える ・・・ゴツゴツ、 ホクホクなど。
・モチーフの視点・気持ちから考える ・・・「今日はどんな料理になるのかしら…」など。
・モチーフの「見えるもの」「見えないもの」を考えて連想してみる
→見える:黄土色、まるっこい、野球ボールくらいの大きさ / 見えない:産地、生産者、味、など。
4.色をぬる
彩色筆に適量水を含ませて顔彩をとり、梅皿に移してしっかり混ぜます。(顔彩は水分がないと溶け出しません。しっかり混ぜないと色ムラができてしまいます。)
濃淡は3段階くらい。
今回の場合はメインは黄土色、くぼみに焦茶色の2色でぬります。 彩色はベターと画面をすべらせるのではなく、トントントンと リズムよく色を「置いていく」イメージです。 一番明るい所は紙の白を残して表現するので、明るさが中間くらいの所からぬっていきます。
①適量の水でといた色をぬる。
②暗く感じる所or固有色を強く感じる所に①の梅皿に同じ色の顔彩を足して濃いめの色にしてぬる。
③細かい他の色を入れる。
*ポイント*
・①でぬりすぎない!
画仙紙はにじむので、どんどん色は広がっていきます。
また、①の広範囲 に②を重ねると結局全部同じような色になってしまうので②は白い部分と①の部分に少しかかるくらいにするといいかんじです。
・顔彩は色が褪せやすいので、濃すぎるかな?と思うくらいにぬってちょうどいいです。(もちろん題材によります)
・時間をかけていると乾いてしまって筆跡が残ってしまいます。手早く思い切ってぬるべし!
★直接ぬる前に、思い通りの色かどうかの確認を。
①適量の水でといた色をぬる。
②暗く感じる所or固有色を強く感じる所に①の梅皿に同じ色の顔彩を足して濃いめの色にしてぬる。
③細かい他の色を入れる。
5.印を押す
消しゴム印を色々な所に置いてみて、しっくりくる所に押します。
消しゴム印は柔らかいので、堅いもの上で押しましょう。
石の印は反対に、柔らかいものの上で押すときれいです。
*ポイント*
・右上は避けた方がよいです。また、目上の人に送る時には印が上にあると失礼だと感じる人もいるので注意が必要です。
・印の位置は左右の下、文字の終わり、植物では茎の辺りが一般的ですが「朱肉」という「赤色」が入ることで画面の印象はかなり変わります。好みとセンスで妥協せずに位置を探ってください!
6.宛名をかいてポストイン
かいた絵手紙は置いておかないで切手を貼って送りましょう。
*ポイント*
・郵便局で限定の切手をいくつか買っておいて、貼りましょう。
・たくさんかいてもう送る人がいない、という人は絵手紙ボランティアというものもあります。「日本絵手紙協会」で随時募集しています。
まとめ
以上、基本のかき方でした!これはEtegami_Laboが考える「初心者」の人が元気に見える絵手紙をかく時のかき方であり、絶対というわけではありません。(絵手紙関連書籍とは違う箇所もあります)
繰り返しますが、受け取る相手に失礼にならない範囲であれば 絵手紙は自由です。
手順、やり方は人それぞれ。自分の絵手紙を見つけて、楽しくかくのが一番です。