絵手紙ラボ・年賀状〜暑中見舞いまで。色々な道具で手書きを楽しもう!

色の塗り方のポイント

色が持つ透明、不透明を考慮する

色は色相(色味)だけではなく、透明色・不透明色・中間色の3種類に分類することができます。ガラスや水などの透き通るものは透明色、土や木などがっしりとしたものは不透明色で。また、黄色以外は同じ色相でも透明・不透明があるので、この法則を考慮して彩色すると自分のイメージどおりの絵手紙になります。それでは詳しくみていきましょう。

色の種類説明代表的な顔彩
透明色 塗り重ねてもスカスカする色 群青、紫、群緑 etc‥
不透明色 塗り重ねると下の色を隠す色 胡粉(白)、黄土、花白緑、岱赭 etc‥
中間色 どちらともいえない色 鮮光黄 etc‥

同じ緑系でも「緑青」は透明色、「青磁」は不透明。
同じ青系でも「群青」は透明、「花白緑」は不透明。
同じ茶系でも「落葉茶」は透明、「焦茶」は不透明。

これは、個々の色によって透明の度合いも違い、自分で何度も試して掴んでいくしかないです。 また、この法則は絵手紙で使用する顔彩だけでなく、油絵の具などにも存在しますので、他の画材を使用する際にも役立ちます。

*ポイント*
・透明色だけで仕上げると透き通った軽い表現になるが、画面に密度が出にくい。
・不透明で下描きをしすぎると上の色が濁り、ぼやけた印象になることがある。

油絵などではイエローオーカー(黄土)、バーントシェナー(岱赭)でまずは 下描きをしますが、こうすることで、画面がスカスカすることを防いでいるのです。

中村不折模写・まずは黄土で下描き。

黄土で下描きしてから彩色した例

所々に黄土が見えています。下塗りを無理に全部隠す必要はありません。
なぜか画面が貧弱にみえるなぁと感じる時は、不透明色を意識してみると改善されるかもしれません。

実際の色に固執しない

モチーフの色に近づけるために、何色も混色して色が沈んでしまう‥と悩んでしまうことはありませんか? 絵手紙では手紙を受け取る人が実物を見るわけではないので、実際の色そっくりにする必要は全くないんです!
色彩につきまとう固定観念を取り払い、自由に彩色しましょう。

顔彩は混色するほど濁ってしまうので、多くても 2~3色までが鮮やかさを保つ秘訣です。
「自由」を大切にしている絵手紙。似てる色を作り出すより自分が感じた「印象」を大切にして、そのモチーフや絵手紙で何を伝えたいのかで色を選びましょう。

元気でイキイキとしたバラを表現したい→バラは濃色の鮮光黄、葉は明るい緑青

(実際→黄は弱く、葉も近いのは「青磁」)

 

鮮やかな椿の花を表現したい→花は濃色の「紅」と「上朱」、葉は淡色の「青磁」(渋い色で椿の鮮やかさの引き立て役)

(実際→椿は「燕脂」と「紅」、葉は「青磁」と「青草」の中間)

 

自由な色彩感覚を手に入れるためには、仏像や銅像、石像をかいてみることもオススメです。

 

実際は茶一色、白一色のモチーフ。創造を膨らませて彩色。

絵が写真と違う所は、見たものを一度自分の中にインプットし、独自の解釈を加えてもう一度アウトプットする所にあります。
絵手紙はあくまで「絵が描かれた手紙」。特に彩色は、その絵手紙の印象を左右する重要なポイント。色彩につきまとう固定観念を取り払い、自分の意図通りに完成するように、色味をコントロールしていきましょう。

光っている所→白を残す / 影→固有色を濃いめに使う

絵手紙では塗り残しが大切と言われていますが、残し方次第では不自然になってしまい、初心者には難しい問題です。そこで最初はこの原則を意思すると分かりやすいと思います。また、このように彩色することで陰影が生じ、奥行きがでます。よく視て、光っている所を見極めましょう。

 

折り目の上にきている際を白で残し、奥や下の影になる部分を濃色で彩色

◆陰影について

絵手紙では陰影は基本的には気にしなくていいと思います。

ハガキは小さい画面。 ただでさえ「墨」で黒の面積が多いのに、さらに影の暗色を彩色してしまうと、
「暗色」比率が高くなり暗いものになってしまいます。 「黒系」の持つ力は絶大で、少量でも感情はそちらに惹き付けられてしまいますので 注意が必要です。

◆陰影について2

立体において一般的に一番暗くなる所はどこだと思いますか?? 答えは影部分の少し手前です!

※わかりやすいように大げさにしています※

・光が当たっているところが一番明るい。
・自分の視点から見て、最も遠い所の少し手前が一番暗い。

一番奥が暗いんじゃないんです!これがとても大事。

これを意識すると、特に球形のもの(お花など)をかくときに立体的になります。

 

球を意識して端の少し手前に一番の濃色を持ってきている

花全体をひとかたまりとしての陰影と、花びら個々を球として考えた陰影

これらはあくまで一例に過ぎず、絶対ではありません。

表現したいことによって様々なやり方があり、個性につながります。自分で見つけてくことが大切です!