展覧会レポート
2016.11.14
閉幕から2ヶ月程たってしまいましたが、東京都美術館で開催された「ポンピデゥー・センター傑作展」へ行っていたので、備忘録のため、感想を‥
展覧会のコンセプトが分かりやすく、とてもよかったです。
1906年から1977年までの各年、1年、1作家、1作品をルールとして展示されていました。
あまり知られていない作家との出会いがたくさんありました。
以下、気に留まったものをピックアップ。
1906年 ラウル・デュフィ『旗で飾られた通り』
まずオープニングはデュフィ。色彩の魔術師はやはりセンスを見せつけてくれます。デュフィは構図も素晴らしいと思います。
それぞれの要素はとっちらかってるのに、全体ではまとまって見える‥さすがです。
1910年 コンスタンティン・ブランクーシ『眠れるミュース』
デフォルメされた頭部のブロンズ像が横たわっています。それだけなのに、もう眠ってるミューズ以外には見えない。
1912年 フランティシェク・クプカ『垂直の面Ⅰ』
筆致の残るさわやかな水色の敷面へ黒や水色の平行四辺形がいくつか描かれています。それだけです。それなのに、四辺形は動いてるように見えるし、水色の敷面は「宇宙」とか「時空」などを想起させます。私には『時間の歪みに降りてくる多数のドア』のように見えました。
1913/1964年 マルセル・デュシャン『自転車の車輪』
「要するに芸術家はたった一人で創造するわけではない。鑑賞者は作品における深い本質を読解し、解決することで芸術作品と接触する。それにより創造の過程に鑑賞者自身が関わるのである。」
‥なんでこんなことしたんだろう‥?と考えることが大切なんですね。(でもヒントは欲しい‥)
1933年 オットー・フロイントリッヒ『私の空は赤』
作品はよくわからないですが‥言っている事が素敵だったので紹介。
「絵画は二つの力が出会う場である。一つは天のかなたからの力。もう一つは私たち自身、つまり大地に根ざした人々の生活する社会から来る力である。」
(1933年-)1936年 パブロ・ガルガーリョ『預言者』
もともと平面画において多く見られたキアロスクーロ(明暗法・特に明暗のコントラストを強調しているもの指す)を彫刻で表現すると、こうなる。
1941年 フルリ=ジョゼフ・クレパン『寺院』
寺院の上に髪の長い頭部がたくさん‥なぜ‥?そして表情はかわいい‥
これは疑問とか議論がたくさんできそうな作品です。
1953年 フェルナン・レジェ『自由』
配置がオシャレ。デザイン的。
1957年 シモン・アンタイ『未来の思い出』
茶→黒→乾かないうちに+に絵の具を削りとる。→神秘的に十字が浮き上がる。
画面を埋め尽くす闇と、力強い十字が対照的。
1967年 ヴィクトル・ヴザァルリ『Arny(Shadow)』
オプティカルアート(錯視や視覚の原理を利用した絵画、彫刻の一様式。)の先駆け。中学~高校で見て、印象に残っていました。これが50年前なのですね‥
1作家、1作品の縛りのため、あまり知られていない作家との出会いがたくさんありました。また、作品についてをアーティスト本人が語る構成、タイムラインのような展示‥
キュレーターは、ポンピドー・センター=メッス館長のローラン・ル・ボン氏、
展示はパリで活躍する建築家が担当。(DGTの田根剛さんという方)
なるほど、斬新なのも納得です‥