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イメージの力ー国立民族博物館コレクションにさぐる

展覧会レポート

2014.05.11

六本木の新美術館で開催中の『イメージの力ー国立民族博物館コレクションにさぐる』へ行ってきました。

入るとまず、高さ2mほどの木製の『神像つきの椅子』が3つ並んでいます。
神像といってもシャーマニズム的なそういう神像です。
神像の顔の大きさで1m位。
背もたれの背面に顔がり、神像と背中合わせで座るようです。

迫力に圧倒されます。

プロローグ 視線のありか

約100個の仮面がお出迎え。
壁から少し離して展示されているので、仮面が浮いているように見えて、とても不気味。
その少しの隙間に異世界が感じられます。
100もの仮面に一方的に見られる。
人間じゃなくても「顔」は異様なパワーを持っていることを体感できます。

第1章 みえないもののイメージ

1-1 ひとをかたどる、神がみをかたどる

インドネシア→カラーなし
アメリカ→ダークブラウンの木材
バヌアツ・パプアニューギニア→アースカラー
と、精霊・神像に対するイメージもそれぞれの土地柄が出ています。

・神話的祖先『ノンモ』の像 民族:ドゴン マリ
→顔が2つ縦に並んでおり、おもしろい。
・呪術用の像『ミンキシ』 民族:コンゴ コンゴ共和国
→釘をどんどん打ち込んでいく像。痛そうです‥

第1章 みえないもののイメージ

1-2 時間をかたどる 神話や伝承の視覚化ー時間にイメージを与える

・早変わり仮面 民族:クワクワカワクゥ カナダ 作者:リチャード・ハント
仮面がぱかーっと開きます。
赤、ミントグリーン、黄土色(元の木材の色)、黒。この配色が効いています。
・首長用玉座 民族:コム カメルーン
1m四方くらいある大きな椅子。いかにも原住民のリーダーが座りそうな椅子。

第2章 イメージの力学

2-1 光の力、色の力
 

ただの人形が神霊的な力を持って発揮するために、 服に鏡面を取り入れたり、細かくピーズで刺繍したり。

・ゾウの仮面「ムバップ・ムテン」 民族:バミレケ カメルーン
ターコイズのビーズ刺繍の1.5mほどの被り物。
‥ゾウ??
ゾウの力を借りようとしたのでしょうか。

・手型のお守り 地域:カイロ エジプト
手の真ん中に目があります。エジプトっぽい。
右手ばかりです。やはり左は不浄の手だから??

第2章 イメージの力学

2-2 高みとつながる 

高み→他界、異界

墓標、葬送用の柱「ビス」などの柱が並びます。
約2mのポールが真っ白い部屋の中に林立している様は異様としか言いようがないです。
高さの強調→視線を上方に導き、人間のちっぽけさの強調‥?
高いところは、死者や精霊を送り出すところ、あるいは神霊が宿るところです。

・葬送用の柱「ビス」 民族:アスマット インドネシア
→3m位で、白い木肌の木材にオレンジ色のペイントが所々残っています。
5本ありましたが、だいたい下段は船で次に大人と子供の彫りが向かい合っている構成パターン。
・神像「マランガン」 地域:ニューアイルランド島 パプアニューギニア
一本の木から出来ているのか、組み合わせているのか詳しいことは不明だそうです。
これが一本だとしたらすごい技術と根気。‥奥行き感とかすごいです。

第3章 イメージとたわむれる 

人間は、ある特定の目的のためにかたちを作り出すだけでなく、イメージを生み出し、それを享受することに歓びを感じてきました。(展示パネルより)

古来より、人間は創造することに歓びを感じていたのですね!

民族ごとの手作り品。
帽子、イースターエッグ、櫂などが展示されています。

第4章 イメージの翻訳

4-1  ハイブリットな造形

アフリカのナイジェリア、アラスカのエスキモーの仮面には白人の姿が刻まれているそうです。
異界からやってきたものとして、精霊や死者と同列扱いだったのですね。
2000年代の棺桶の作品や、掲示板などもあります。
顔の上でスポーツしている仮面や、日本の翁面に似ているものも。

第4章 イメージの翻訳

4-2 消費されるイメージ

・彫像「ウジャマー」 作者:パジュメ・アラレ 民族:マコンデ タンザニア
→1~2m位。人が重なり合っててちょっと気持ち悪いです。

アサヒやペプシのアルミ缶でつくられたおもちゃもあります。

エピローグ 見出されたイメージ

人間がつくったイメージは伝播されますが、常に同じに受け止められ、解釈されるわけでない。
しばしば誤解され転用され、時にはまったく新たな意味を与えられる事も。
これが新たな文化を創造するメカニズムの一つである。
(展示パネルより、一部解釈あり)

博物館の所蔵品を美術館で展示した今回。

真っ白な空間でみることで、造形物に内包されたエネルギーがあぶり出されるよう。

この呪術的な雰囲気って何なのでしょうか‥
山で石が重なっている時。
白い正方形の菱形の紙が何枚かズラされて貼付けてある時。(紙垂じゃなく、似ているものでも)
‥そもそも注連縄なんて、藁と紙でできた縄なだけなのに、それを見ると我々は異様な(霊的な)力を感じてしまう。

これって、環境での刷り込みなのでしょうか。
‥でも私たち日本人が文化の違う国々の寺院に行っても、そこがそういう場所だということは分かるもの。
文化は関係なく、人類の長い歴史の中で遺伝子レベルでそう感じるようにできている‥?

イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる

国立新美術館

2014年2月19日(水)〜6月9日(月)

観覧料 1,000円(一般当日)

展覧会URLはこちら(会場違いですが、同内容です)»