絵手紙ラボ・年賀状〜暑中見舞いまで。色々な道具で手書きを楽しもう!

川崎市岡本太郎美術館

美術館レポート

2014.02.10

敬愛してやまない岡本太郎さん。
彼の著書に出会えたから、再び美術の世界に足を踏み入れたと言っても過言ではありません。
遠近法や構図法、配色などから理論的に芸術作品を考えることが好きですが、根底には岡本太郎の芸術哲学が染み込んでいます。
思い起こせば、かく絵が気持ち悪いと言われていた幼少時代。
でも、わたしにはそう見えるし、そうかく方が好きでした。
「今日の芸術は、うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない。」
これにどれだけ救われたか‥
器用なものや手間のかかった事がわかるものは、その技術や根気にスゴイとは思うけど、心が動くかどうかはまた別の話。

美術館の最寄り駅は新宿から特急で約20分の小田急線の向ヶ丘遊園駅。
駅からは徒歩で15分くらいです。
川崎市生田緑地という公園の奥にあります。

緩やかな坂を上がっていきます。
緑地に入ってからも中々着かない感じが気分を盛り上げてくれます。
入り口。
常設展は「岡本太郎とオリンピック」、企画展では第17回岡本太郎現代芸術賞展が開催中でした。
入選作品20点が展示してあり、写真撮影OKでした。

【企画展・第17回岡本太郎現代芸術賞展】

太郎賞はキュンチョメさんの「まっかにながれる」

震災後によく目にするようになった「警告」テープ。
それがあると自分では思考せずに、入ってはいけないものと決めつけてしまいます。
しかし、実はこの作品では乗り越えて、入っていけるのです。
「美術館」で「警告テープ」。普通なら入れないと思いますよね?
実際、私がいた時間では入っている人はおらず、係の人に「入れるんですか?」と聞いてしまいました。
(こんな風にかいてあるにも関わらず。)
自分がいかに既成概念にとらわれているか‥体験させられました。
この影も、制限区域内に残された植物を思い起こされます。
砂にしては踏み心地が違う‥と思ったら、なんとこれ、お米なのです。
お米なんて初めて踏み締めました。キュッキュッと心地いい。
でもこれ「食べ物を祖末にするな!」っていう批判が出てきそうですよね。
しかし別の角度から考えると、飽食の問題にも切り込んでいるのでは?と考えさせられました。
日本の食料廃棄率は世界一で年間1930トン、11兆円分。

売れ残りや賞味期限に敏感で大量にでる「まだ食べられる」けど廃棄される食糧。
食べれるのに最初から「芸術作品」として利用される1トンの米。
どちらが問題なのか‥。
ほんとに深く、太郎賞にふさわしい作品だと思いました。
赤松音呂さん「マグネティカ・アニマータ」
よく耳を澄ませると‥何処からともなく微かに聴こえるキン、キン、と不規則に鳴る音。
慌てて音がするコップを探しますが、なかなか鳴る法則や原因を掴めない。
音や風に反応しているのかな?と手を叩いたり、扇いだりしてみるが効果なし。
‥降参して係の人に答えを聞くと「コップに巻いてある銅線に電気を流して、その振動でコップの中の水が振動し、中の針がグラスに触れて音が鳴っている」との事。なるほど!
高本敦基さん「The Fall」
修復中でしたが、洗濯バサミがここまで作品になるってすごい。
小松葉月さん「果たし状」
パンフレットには載っていませんが、女の子が座っていてびっくり!にこにこの顔がびっしり。
かわいいはずのマークが、こんなにあると怖くすら感じてくる‥
(下は藁人形)
栗真由美さん「Flower Maker」
花びらが散ったり、巻き戻ったり。
そうそう、 柵木愛子さん「この街」
この「なにコレ!?」感。
知花玲央さん「FIRE」
全然心地よくない!!さすが岡本太郎芸術賞です。
廣田真夕さん「回る生きる」
【常設展・岡本太郎とオリンピック展】

制作風景や芸術について語っている映像もあり、動く「岡本太郎」を 目にした事がなかったので、感動です。
太郎さんの言葉
「つねに死の予感に戦慄する。
だが死に対面した時にこそ生の歓喜がぞくぞくっとわきあがるのだ。
血を流しながらにっこり笑おう。」

「面白いねぇ、実に。オレの人生は。だって道がないんだ。」

「写真というのは偶然を偶然で捉えて必然化することだ。」

映像より ・きれいと美しいは反対の言葉。「きれい」は時代に合わせたもの。
「美しい」はなんだこれは!?と度肝を抜かれるもの。
(一字一句は追えませんでした。こういういうニュアンスの発言)
・対極主義‥人間は矛盾したもの。主観と客観のぶつかり合い。
記念撮影コーナーもあり。
「きれい」なものは一切ありません。
「??」とか何かひっかかりを見つけに行きましょう!
外には「樹霊」も。

◆太郎さん導入におすすめの書籍
「岡本太郎 歓喜」二玄社
→カラーの写真ももちろん、名言もたくさん載ってます。
「今日の芸術 時代を創造するものは誰か」光文社
→読むと芸術感が変わります!!

川崎市岡本太郎美術館

企画展 第17回岡本太郎現代芸術展

2014年2月8日(土)~2012年4月6日(日)

開館時間9:30-17:00(入館は16:30まで)

観覧料 展覧会ごとに異なります。

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