絵手紙ラボ・年賀状〜暑中見舞いまで。色々な道具で手書きを楽しもう!

Kawaii 日本美術展

美術館レポート

2014.01.19

恵比寿にある日本画の専門美術館である山種美術館の「Kawaii 日本美術-若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで-」へ行ってきました。

第1章 描かれた子どもー人物の中のKawaii

まず正面に有名な伊藤若冲の『伏見人形図』がお出迎え。
日本画は主に紙本と絹本に彩色されています。
pick up
・『山姥と金太郎図』柴田是真  *前期は金太郎図のみ
→ユーモラスで遊び心がある海外でも評価の高い作品。動きのある表情の捉え方が魅力的です。
・『枇杷と少女』奥村土牛 
→日本画独特の形は平面、彩色は陰影ありの不思議な作品。
枇杷と木の葉の重なりが絶妙な美しいグラデーションで表現されています。
今回は展示はありませんでしたが、ロビーで上映している山種美術館VTRで紹介されていた『城』も抜群に美しいです。

第2章 生きもの大集合ー動物の中のKawaii

pick up
・『犬』西村五雲
→斜め後ろからみた犬を描いています。こんな角度から描かれているのを見たのは初めてです。
ネズミっぽいというか‥愛らしいのは確かです。
・『兎』奥村土牛
→作者は「目が楽しいから生きものを描くのが好き」と言っています。
『兎』という作品は二つあります。一つは白兎で、目・鼻・口だけがポイントになるようにしっかり描かれており、兎自体には輪郭線はなく、フワフワ感が表現されています。
一方の黒兎の方は、輪郭線と目鼻ははっきり描かれています。隣には鮮やかな赤い花まで描かれており、黒さが引き立ち、パリっとした画面になっています。
画家が個々をよく観察し、「ウサギ」という大枠で見ないで、それぞれ違う固有体として向き合ってるからこそ、こういう表現ができるのだと思いました。
・『鶴亀図』伊藤若冲
→パッと見は「鶴図」です。亀は鶴の足下に背景か?と思わせるようなさりげなさで出演しています。
墨の濃淡のバランス、構図、表情が洒脱。メインの鶴の背中の所に、もう一匹鶴が隠れています。
観覧者に「おや?」と思わせ、さらによく見たい、と思わせる仕掛けぶりはさすが若冲です。
『墨林筆哥』柴田是真
→紙本に漆で描かれた漆絵です。ツヤ・ピカっとしていて立派に見えます。

第3章 小さい・ほのぼの・ユーモラスーKawaiiってなに?

pick up
・『干柿』竹内栖鳳
→モチーフは小さな干柿3つ。輪郭も薄墨、彩色も薄い橙であっさりしているのに、干柿の配置と署名・印の位置が完璧で寂しさは感じません。
これこそ巨匠の仕事。
・『托鉢図』伊藤若冲
→たくさんの托鉢が塊で捉えられ、配置されたデザインセンス抜群の作品。
・『うさぎ』熊谷守一
→熊谷守一の絵には、本当に必要な線しかありません。
最初は子どもが描いたようなべた塗りの絵だな、と感じるのですが、一度見ると忘れられません。
そして、模写をしてみると「ここに、これ意外の線はありえない」と体感でき、彼の物を捉える力のすごさがよく分かります。
・『美魅寿玖図』棟方志功
→さすが世界のムナカタ、絵に勢いと空気を感じます。
墨で描かれたものに青、水色、黄緑、緑、茶色、と絞られた色数で彩色され、スッキリとした画面になっています。
筆致も魅力的です。

初めて訪れた山種美術館、1200円の入場料にしては作品数が少ないと感じました。
(個人美術館はこれくらいなのでしょうか‥?)
また、若冲の有名な『樹花鳥獣図屏風』は後期の2月4日から展示なので、まだ見れませんでした‥ 恵比寿はオシャレなので、美術館に行くまでの楽しいです。

Kawaii 日本美術 ー若冲・栖鳳・松園から熊谷守一までー

山種美術館

2014年1月3日~2014年3月2日

入場料 一般 1200円

美術館URLはこちら»